フロイトが提唱する心理学とは?現代ビジネスに役立つ手法

心理学を勉強し始めたけど、「フロイトってどんな人物?」と疑問を抱いていませんか?

フロイトは、”精神分析学の創設者”であり自身のクリニックで精神疾患を抱えた患者を研究し「無意識」の概念を広めた人といわれています。

精神治療だけではなく、『夢分析』や『人の精神の3段層』についても提唱してます。

今回の記事では、フロイトが提唱する心理学、また主要な考え方についてご紹介していきます。

精神分析学の創業者|フロイトとは?

引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ジークムント・フロイトとは、1856年にオーストリアのユダヤで育ち精神分析学の創業者であり精神医学者です。

PTSD(心的外傷)や神経症の研究などを行なっていて、人間の全ての行動には必ず心理学的な裏付けがあり、そのほとんどが『無意識』の領域に該当すると唱えています。

現代において、“精神医学”という用語は聞き馴染みのあるものですが、フロイトが研究している頃は、“精神医学”という用語はあまり一般的ではありませんでした。

そのため、フロイトが研究している『無意識』についてや人間の心の中を調査し分析したことから“精神分析学”の創始者”だと言われています。

フロイトにとっての「夢」の意味

フロイトが研究しているなかで『無意識』に該当する「夢」について解説します。

フロイトは、精神医学者でもありながら開業医でもあります。今で言うと心療内科クリニックを経営していた医者ということになります。

自身のクリニックの患者さんを治療するために、精神分析学を用いて研究を行い、その重要な研究結果のひとつに「夢」があります。

フロイトにとっての「夢」の意味は「無意識の現れ」

フロイトは、普段寝ている時に見ている夢こそが本当の自分が気づかずに選んでいる意識(無意識)の領域だと主張しています。

普段の人間の行動や心は無意識に支配されているため、病気や心について理解するために「夢」が重要であると言われています。

「こういう夢を見た人にはこんな無意識が隠れている」と患者の夢を研究し、分析を行うことで無意識を可視化していました。

【フロイトを学ぶ、夢判断を学ぶための書籍】

  • 夢判断 上 フロイト (著), 高橋 義孝 (翻訳)
    • 日常生活での無意識の欲求と“夢”との関係を分析、また人間心理について詳しく書かれている書籍
  • 精神分析入門(上) フロイト (著), 高橋 義孝 (翻訳), 下坂 幸三 (翻訳)
    • フロイトの書籍の中で比較的に読みやすい初学者向きの書籍

フロイトの主要な考え方について

上記の書籍でも記載がある主要な考え方について解説していきます。

意識は「氷山の一角

フロイトは、意識は「氷山の一角」と例えて解説しています。

氷山の見えている部分は、ほんの1部であり大部分が水面下にあることから、見えている部分を「自覚することができる意識」、水面下にある部分を「自覚できていない意識」としています。

普段から心の大部分は隠されていて、その隠れている大部分に本能衝動や観念、記憶などが抑圧されています。

意識:日常で自覚できている行いや使われている言葉、普段から気づける心の領域のこと
無意識:日常で自覚ができない欲望や行い、記憶などの心の領域のこと

「意識・無意識」 +『前意識』

さらに、フロイトは「意識・無意識」に加えて「前意識(ぜんいしき)」の概念も提唱しています。

前意識(ぜんいしき)とは、意識と無意識の中間地点にある意識のことで、他者からの指摘や何らかのきっかけがあれば意識することができる心の領域のことです。

つまり、努力といった頑張り次第で意識できる部分を指しています。

フロイトにとって心には、「意識・無意識」 +『前意識』と3つの層に分かれていて、意識の大半を無意識が占めていると解説しています。

無意識・自我・超自我

フロイトは、人の精神は3段層に分かれているという考えを提唱しています。

  • 無意識=別名エス(下の層):人の精神の最下層にあたる部分「人間的欲望」のこと。人間が行動するための土台となっている意識で道徳的判断を行なっていません。
  • 自我(中間の層):無意識をコントロールする働きがある部分のこと。基本的に人間は“無意識”によって突き動かされているが、社会や人間との関わりで成長していきます。
  • 超自我(上の層):精神層の中で最上層に位置していて「〜すべき」といった道徳的な考えを行う部分のこと。“無意識”の人間的欲望を抑圧するために完璧や理想を追求していきます。

無意識・自我・超自我の例

例えば、「お腹が空いた!」という人間的欲望は、“無意識に該当します。

しかし、ここで“無意識”の感情をそのまま剥き出してしまうと、会議中や授業中、また大事な面接中であろうとお弁当を広げて食べてしまいます。

そこで“自我”が現実的な行いはないのかと働き出します。

「会議を抜け出して食べる」「あと少し我慢する」「先生にバレないように食べる」など、自我が働き人間は欲求をコントロールして現実的な行いをします。

さらに、社会や集団のなかで生きていくうちに人間は“超自我”が成長していきます。つまり、道徳的な行いができるようになっていきます。

「昼食時間まで待つ」「会議や授業中に食べてはいけない」「妊婦や病人への気遣い」など、生きていくうえで学び成長していきます。

錯誤行為

フロイトが唱えた錯誤行為とは、意図した行いとは異なる行いをしてしまうことを指します。

言い間違い、書き間違い、行動の間違い、物忘れ、ミスなど日常的にうっかりしてしまうことは、「疲れているから」「他に注意が向いているから」など原因が考えられます。

しかしフロイトにとって、このような錯誤行為は無意識の願望の表れだと言います。

錯誤行為が起こる原因には、

「妨害される意向」と「妨害する意向」

上記の二つの対立する意向が葛藤した結果、言い間違いや書き間違いなどをしてしまうという考え方です。

錯誤行為の例

「青山さんという名前がどうしても覚えられない…」など、どうしてあの人の名前だけは覚えられないのだろうといった経験はありませんか?

これは、無意識のうちに相手に対して苦手意識があるため覚えにくくなることがあります。

また、過去に嫌な出来事を経験した時に関わった人と、似ている名前の人がいた場合、脳が思い出すことを拒否していることも考えられると言われています。

このように「覚えたい」という意識があっても、「嫌な出来事を思い出したくないから覚えたくない」といった“無意識に拒否をしている考え”のことを錯誤行為といいます。

表面的な意識を研究するだけでは本質は見えない

フロイトは、表面的な意識を研究するだけでは本質は見えないといいます。

“人の心や行動は1つの線でつながらない、そんな単純なものではない”と主張しています。

つまり『Aという原因 = 必ずBという結果』といった、人間の日常の行動や心が、すべて一直線で説明できるとするならば、その線を研究すれば人間の行動パターンも簡単に予測できます。

人間が全て同じ意識や行動パターンであれば、政治なども必要がなくなってしまいます。

しかし、人間の心は無意識がほぼ占めているため、矛盾や不可解な出来事は必ず起こります。

フロイトは、意識だけでなく無意識についても研究を行うことで、多くの人間の心や行動の本質が見えてくると提唱しています。

フロイトによる精神分析|自由連想法

フロイトによる精神分析のなかで「自由連想法」があります。

自由連想法(じゆうれんそうほう)とは、ある言葉(刺激語)を与えられた時に、心に浮かぶままの自由な考えを連想していく発想法。引用: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

自由連想法とは、無意識を可視化するために何気なく心に浮かんだ感情を言葉にするよう促す技法のことです。

自由連想法は、PTSDの治療をするために使われることが多いです。

また、マーケティングリサーチを行う場合にも用いられていて、顧客インサイト(潜在的な欲求)を言語化するためにも使われています。

自由連想法の例|PTSDの治療の場合

PTSD(的外傷後ストレス障害)とは、事故、事件などに巻き込まれた時に死の危険に直面し、その体験の記憶が自分の意志や意識とは関係なくフラッシュバックする状態のことです。

PTSDは、脳の損傷からきていると言われていました。しかし、フロイトは人間の“無意識”に視点を置き患者を観察していきます。

患者さんを一人にさせて横になってもらい、「今の気持ちや頭に浮かんだことを書き出してみてください」と伝えます。

患者さんは、『自然の風景や昨日のご飯』『辛い思い出』など、自身でも意識していない“無意識”を言語化することができます。

自由連想法を用いることで、自分では意識していない原因を吐き出すことができ本当の原因を可視化することができます。

自由連想法の例|マーケティングリサーチを行う場合

自由連想法でマーケティングリサーチを行う場合、インタビューやアンケートなどで活用することができます。

“〇〇(会社名)”と聞けば、何を連想しますか?
“〇〇(ブランド名)”と言えば、思い浮かぶことは?

このように自由記述式回答を求めるようなアンケートで調査してみると、次のような自分・自社では気づけないことが可視化されていきます。

  • 「製品の持ちがいい!スタイリッシュ!」
  • 「なんかいつもトレンドからズレているかな?」
  • 「自分だったらこう使う!」

このような発想は自由連想法だからこそ可能だといえます。

自由連想法を用いることで顧客は、製品のビジュアルを重要視していて「流行りにのりたいと思っている」など、顧客インサイトを把握することができます。

フロイトの精神分析|心理性的発達理論

フロイトの精神分析の研究のなかで、人は乳幼児期から青年期までのリビドー(性エネルギー)の発達を明らかにして、どのように性格が形成されていくのかを分析していました。

心理性的発達理論(しんりせいてきはったつりろん, Psychosexual development)とは、精神分析学のジークムント・フロイトによる、ヒトの発達段階についての理論引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

心理性的発達理論とは、身体の部位、口・肛門・性器などが一定の時期に敏感になることから、5つの発達段階があることを指しています。

フロイトは5つの段階を経ている時に、どのように対応され処理されたのかで人間の性格が定まっていくと提唱してます。

5つの発達段階

5つの発達段階について解説します。

段階部位特性・性格
口唇期
0~1歳ごろまで
(乳幼児期)
口・唇周辺・母乳を吸うなど、授乳という愛情行為を通して性格が形成される。
・口唇的欲求が強く、寂しがり屋で1人を恐れる。
・この時期に愛情が少ないと大人になって爪を噛む場合がある。
肛門期
1〜3歳ごろまで
肛門・排泄の快感・おむつが取れる時期。
・この頃のしつけによって「我慢」「反抗」を覚える。
・親のしつけが怠るとお金・時間にルーズ、厳しすぎる性格や創造性が乏しい性格になる。
男根期
4〜6歳ごろまで
男根と男らしさ・女らしさが出る時期・性に対する意識や識別ができるようになる時期
・男の子はリーダーシップを取りたがる。
・男女の違いは何か意識し出す。
潜伏期
小学生の時期
なし・欲求など落ち着き出す時期。
・衝動などは、スポーツや勉強に向く。
・自分の欲求を抑圧し、社会に合わせることを学ぶ。
・訓練が不十分だと大人になり非常識な行動をとってしまう可能性がある。
性器期
12歳以降の青年期
(思春期)
性器性欲・心理的離乳(理的に自立する時期)
・人を愛した行い、成熟した感情を持つ。

フロイトの精神性的発達段階について

上記の5つの発達段階で大きな問題がなく経過することで、バランスの良い暖かみのある人間になれると言われています。

まとめ

フロイトは「夢」を分析した心理学者であり、普段寝ている時に見ている夢こそが本当の願望や不安が隠れているといいます。

このように、無意識に視点を置き見える化することで心理療法に役立てています。

人間の行動を理解するためには、“無意識”の概念をしっかりと理解し分析を行うことで、自身の日常のストレスや不安に気づくことができます。

また、フロイトの「精神分析学」を取り入れることで日常だけではなく、マーケティングリサーチの際にも役立てていきましょう。

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