SAP2027年問題、S/4HANAへの移行方法について考察

経済産業省が発表した「DXレポート」で語られた「2025年の崖」は大きな話題となりました。
2025年までにレガシーシステムの再構築を行わなければ、維持・管理により損失が増え、業務変革の妨げになるというものです。

当初、同じく2025年に起こりうる問題として「SAP 2025年問題」が挙げられていました。
「SAP 2025年問題」とは、既存のSAP ERPシステムのメインストリームサポートが終了する2025年に、SAP導入企業が何かしらの“対応”に迫られるという問題です。

しかし、サポート終了まで5年を切った2020年2月に、SAPはサポート終了を2025年末から2027年末に延長すると発表しました。

さらなる延長も考えられますが…
いずれにしてもいつか迎えるサポート終了に備えて、どのような移行方法が検討できるのかを本記事では考察していきたいと思います!

【目次】
 ▶SAP 2025年問題あらため、SAP 2027年問題とは 
 ▶SAP 2027年問題とデータ移行 
 ▶SAP ERPからS/4HANAへの移行 
 ▶S/4HANAへの移行にデータ連携ツールを利用するメリット

SAP 2025年問題あらため、SAP 2027年問題とは

既存のSAP ERPシステムのメインストリームサポートが終了する2027年末に向けて、SAP導入企業は何かしらの“対応”を選択しなくてはなりません。

企業の基幹システムとして稼働するSAP ERP。2,000社にものぼる導入企業が早急に対応策を検討しなければならないというので、その影響は計り知れません。
しかし、一方で最新技術を活用できる「攻めのIT」を実現するチャンス!とも言えます。

SAPが、S/4HANAをリリースしてから久しいですが、
・既存のSAPを大幅にカスタマイズする必要がある
・カスタマイズにより資産やコストが肥大化
などの課題により、なかなか、S/4HANAへの移行が進んでいない現状もあります。

SAPを利用されているお客様と何度かお話をしましたが、まだサポート終了までまだ数年と期間があることから、比較的楽観的なご意見を持たれている方が多い印象です。

ただ、時間が進むにつれて数の限られるSAP技術者の不足などの問題も考えられるため、早めの対応を検討する必要性がありそうです。

SAP 2027年問題とデータ移行

SAPの移行における選択肢は3つあると考えています。

SAPの移行における選択肢

1.S/4HANAへの移行 

メリットは、なんといってもSAPの最新ソリューションを享受できることでしょう。
肥大化してしまったシステムのスリム化や、S/4HANAをベースとしたポストモダンERPの実現なども考えられます。
一方、デメリットとしては、導入要件の見直しや再構築といった作業や、業務の根幹となるデータの移行をすることの負荷などが考えられます。


2.既存のSAP ERPの存続 

メリットとしては、システムが変わらないため業務への影響がほぼないという点です。
保守はなくなる可能性はありますが、時間をかけて移行の検討することができます。
最近では、クラウドにリフトアップして一旦その場をしのぐというお客様もいらっしゃるようです。
ただ、この方法ですとDXへの対応が遅れ、逆にコストが増える可能性もあります。
さらに将来的には必ずS/4HANAもしくは他のERPでの再構築を検討する必要が出てくるでしょう。


3.SAP ERPをやめて他のERPを使用 

メリットは全面再構築となるため、大幅なBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)に取り組むこともできます。しかし、新システムを一から構築するため作業自体の負荷が非常に高いです。

SAP 2027年問題での対応方法についてみてきましたが、この3つの中で共通した要素があります。

それは現在のSAP ERPから新環境への「データ移行」です。

本記事では、SAP ERPからS/4HANAへのデータ移行に絞って、掘り下げていきたいと思います。

SAP ERPからS/4HANAへの移行

既存のSAP ERPからS/4HANAへの移行方法は大きく2パターンあります。

方式1.コンバージョン:現状のSAP ERPの機能を含んだ形で移行

マルっとS/4HANAに置き換えるイメージの手法です。既存のSAP ERPにあるデータを一気に移行することができます。

方式2.再構築

これはS/4HANAを一から再構築する方法で、SLOと呼ばれるサービスを活用してS/4HANAに対してデータの移行を行います。この場合、既存のSAP ERPに無いデータを取り込む場合もあります。

ここで、「データ移行」というキーワードだけ抜き出して、その考慮点を考えてみます。

【データ移行における考慮点】

  • 一過性の処理のわりに開発コストがかかる
  • 移行データが正しく生成されず手戻りが発生する
  • 既存システム並行稼働で差分データ取り込みも考慮しなければない
  • 移行時のシステムダウンタイムのタイミング

またデータ移行はシステム構築全体の2割ほどかかるとも言われています。
一過性な作業として考えるならば「コスト・工数などを抑えつつ」「品質高く」「短時間で」移行を行いたいと考えるのが通常ではないでしょうか。

​◎コンバージョン
 コンバージョン時のデータ移行については、決められた手順に沿って移行ができることが
 大きなメリットですが、データ移行のために、数日のダウンタイムが発生する可能性がある
 など、業務影響が高いという課題もあります。

​◎再構築
 再構築でSLO等のサービスを利用した場合、ダウンタイムも考慮されるため、時間的な制約
 はある程度排除できる可能性が高いですが、SAP技術者のスキルが必要となるためコスト面
 が増加するという課題もあります。

このように考慮点は様々ありますが、逆転の発想で考えると、
これらの課題について何かしらの解決策があればSAPにおけるデータ移行においてももう少し選択肢が広がることも考えられます。

例えば下記のような取り組みが解決策となるかもしれません。

・ダウンタイムが長いのであれば、データ移行は自社の業務都合に合わせたタイミングで移行していく。

・移行作業そのものに関しては自社の技術者も実作業として参加していく。
 ただし、SAP技術者ではない立場でSAPのデータ移行を行うにはそれ相応の環境が必要になります。

ここで強くオススメしたいのが、SAPのデータと連携できる「データ連携ツール」を活用して、データ移行を行うという選択肢です。

S/4HANAへの移行にデータ連携ツールを利用するメリット

データ移行を行うにあたって、下記の3つの要素を考慮する必要があります。

1.移行プログラムの開発
通常であれば言語開発になりますが、SAPであればABAPでの開発も含まれてきます。
言語による開発は工数がかかるため、ツールによるGUIで効率的に開発を進めることがポイントです。

2.移行するデータ品質
言語での開発は開発者の方のスキルに強く依存します。そのため、想定通りのデータが移行されないなどの問題が考えられます。
ツールの開発ではツールで用意された部品を組み合わせて開発を行うため、処理品質の均一化や向上が見込めます。

3.移行の時間
データ移行は期間や工数は限られており、その時間内で高品質なデータ移行処理を実施する必要があります。

つまり、データ移行作業については、一過性ではありますが「高品質」かつ「短期間」で実現することが求められるわけです。

プログラム開発による柔軟性も選択肢としてはアリですが、いかに”使えるデータ”を短期間で新システムに移行することがもっとも重要ではないでしょうか。

SAP ERPのサポート終了がアナウンスされ、2025年末の移行に向けて頭を抱える情報システム担当者も多かったでしょう。その悩みはサポート終了が2027年末まで延長されたことにより、一旦は難を逃れたと考えているかもしれません。しかし、「SAP 2025年問題」がたった2年間先延ばしになっただけであり、本質的な問題は何も変わっていません。

SAPユーザーにとっての移行選択肢第一候補であるSAP S/4HANAにおいては、今後駆け込み的な移行相談が急増すると予測されており、SAP関連コンサルタントが不足すれば2027年末のサポート終了まで十分な移行期間を取れない企業も多くなります。

そこでご紹介するのは、S/4HANAの移行を検討する際に考慮すべきポイントです。これを機に、SAP ERPのサポート終了まで「まだ6年ある」ではなく、「もう6年しかない」という意識を感じていただきたいと思います。 目次

  1. SAP S/4HANAへの移行に際し事前に検討すべきこと
  2. SAPデータ移行及びマイグレーションのポイント
  3. リアルテックによるSAP S/4HANA移行支援サービス

SAP S/4HANAへの移行に際し事前に検討すべきこと

SAP S/4HANAへの移行では最初に、現行のシステム環境をそのまま移行する「マイグレーション」で行くか、ゼロからSAP S/4HANAの新機能を導入する「リビルド」で行くかを検討する必要があります。

マイグレーションでは現行のSAP ERPシステム設定をベースに移行するため、現在使用しているカスタマイズ設定やアドオン開発、データ等をそのまま移植するため導入期間を短くし、低コストでの移行が可能になります。業務プロセスと現行システムの依存性が高く、変更による影響の範囲と度合いが大きいため現行のシステム環境を極力継続したいという場合におすすめです。また、改善箇所だけにフォーカスして最適化を図ることもできます。

ただし、単純なマイグレーションを実行するだけではSAP S/4HANAが持つ革新的機能を十分に活用できない可能性が高いでしょう。

一方、リビルドは現のSAP ERPシステム設定にとらわれずに、ゼロから業務プロセスを見直してシステム構築を行っていく方法です。アドオン開発を極力排除することでSAP S/4HANAが持つ革新的な機能を次第現活用し、業務プロセスの刷新がしたい場合に有効です。システムの保守運用の障壁になり、ITコストを圧迫する原因となるアドオン開発を大幅に削減できます。刷新をきっかけとして業務効率の向上やビジネス上の付加価値創造の可能性があるものの、マイグレーションと比較すると導入期間は長期化しがちですし、コストもかかります。

<マイグレーションとリビルドのメリット・デメリット等>

 マイグレーション(移行)リビルド(再構築)
メリット短時間でマイグレーション可能なため低コストで移行できる現行ドキュメント(設計書や定義書等)の活用ができる現行の業務プロセスが抱える課題改善を中心として再構築ができる
デメリット現行システムからの業務プロセス変更が少ないため、SAP S/4HANAのメリットを享受できない可能性が高い設定作業が多く、マイグレーションと比較するとコストが高く導入期間が長い
リスクツール実行による現行システムの踏襲なのでリスクは少ないただし、SAP S/4HANAの費用対効果という点では高い効果が期待できない人手によるシステム設定やデータ移行が必要なためリスクを伴う
移行プログラム、カスタマイズ、データをツールにより移行できるプログラム、カスタマイズはSAP S/4HANA上に直接設定し、必要に応じて過去のデータを移行する
期間ツールベースによる実行で大部分の機能を現行周到し、短期間での移行が可能に新しい要件の実現化のステップが必要で時間がかかる
アプローチ現行システムを踏襲ゼロからのシステム設計
拡張性現行踏襲のためSAP S/4HANAが持つ新機能を最大限活用することが難しいSAP S/4HANAによる新機能の享受と、ビジネスプロセスの再設計が可能

SAPデータ移行及びマイグレーションのポイント

本記事のテーマは「SAPデータ移行」なので、上記に解説してマイグレーションのポイントに焦点を当てて話を進めていきます。マイグレーションを行うにあたり、まずはそれにかかる期間やコストを計算し、移行計画を立てていく必要があります。その際に、業務プロセス視点での改善構想と、システム視点でのアセスメント(環境調査)が必要です。

業務プロセス視点での改善構想では、SAP ERPシステムに依存しない業務改善策を検討することにより、運用課題の洗い出しや作業観光上の検討、業務プロセスの見直しなどを進めていきます。重要になるのは、現実的考えや組織内での対立関係などを考えずに、広く意見を収集して「業務プロセス効率化のために何が必要か?」を具体化していくことです。そこで、情報システム部門以外に現場にキーマンとなる社員、中立的な立場となったマイグレーションを円滑に進めるためのファシリテーターの参加、それらの体制構築が成功の鍵になります。

システム視点では、現行のSAP ERPシステム設定状況や移行後のシステムに関する深い知識をもとにしながら、To-Beを検討していきます。そのため、ユーザーのみでの進行は困難であり、SAPコンサルタントが提供するアセスメント(環境調査サービス)を受けて、現行のシステム環境からSAP S/4HANAを移行した場合のどの程度の影響が及ぶかを確認する必要があります。

アセスメントでは現行のSAP ERPシステムで機能しているアドオン開発等がそのままSAP S/4HANAで継続的に利用できるか、もしくは改修が必要なのかも判断します。これまで利用してきたABAPプログラム言語の命令文がSAP S/4HANAで利用できないケースが多いことから、改修コストと期間の見積もりを知る上でも重要です。

現行のSAP ERPシステムからSAP S/4HANAへ移行することでデータ構造が大きく簡素化され、パフォーマンス向上が期待できます。しかし、移行すれば必ずパフォーマンスが向上する訳ではありません。ここで注意すべきがデータ移行です。現行のSAP ERPシステムではデータ処理の際の中間ファイルが膨大に作られており、それらのデータをそのまま移行するとSAP S/4HANAのパフォーマンスが低下する恐れがあります。

そのため、データクレンジング作業等を通じてデータの品質を向上し、移行するデータの絶対量を大幅に削減することが強く求められます。

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