職場におけるハラスメント防止法関係指針

厚生労働省

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職場におけるハラスメント関係指針

職場におけるパワーハラスメント対策が 令和2年6月1日から大企業の義務になりました。

~ ~ セクシュアルハラスメント対策や 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策と

ともに対応をお願いします ~ ~

パワーハラスメント防止のための指針

事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等に ついての指針 令和2年1月15日厚生労働省告示第5号

傍線部分・・セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児休業等に関するハラスメントの指針においても同様に改正 点線部分・・セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメントの指針においても同様に改正

1 はじめに

この指針は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号。以下 「法」という。)第30条の2第1項及び第2項に規定する事業主が職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必 要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されること(以下「職場におけるパワーハラスメント」という。)の ないよう雇用管理上講ずべき措置等について、同条第3項の規定に基づき事業主が適切かつ有効な実施を図るために必要な事項について 定めたものである。

2 職場におけるパワーハラスメントの内容

(1) 職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる1優越的な関係を背景とした言動であって、2業務上必要かつ相当な範 囲を超えたものにより、3労働者の就業環境が害されるものであり、1から3までの要素を全て満たすものをいう。

なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントに は該当しない。

(2) 「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当 該労働者が業務を遂行する場所については、「職場」に含まれる。

(3) 「労働者」とは、いわゆる正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含む事業主が 雇用する労働者の全てをいう。

また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者についても、労働者派遣事業の適正 な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第47条の4の規定により、その指揮命令の下に労働させ る派遣労働者を雇用する事業主とみなされ、法第30条の2第1項及び第30条の3第2項の規定が適用されることから、労働者派遣の役 務の提供を受ける者は、派遣労働者についてもその雇用する労働者と同様に、3(1)の配慮及び4の措置を講ずることが必要である。な お、法第30条の2第2項、第30条の5第2項及び第30条の6第2項の労働者に対する不利益な取扱いの禁止については、派遣労働者も 対象に含まれるものであり、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者もまた、当該者に派遣労働者が職場にお けるパワーハラスメントの相談を行ったこと等を理由として、当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒む等、当該派遣労働 者に対する不利益な取扱いを行ってはならない。

(4) 「優越的な関係を背景とした」言動とは、当該事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が当該言動の行為者と される者(以下「行為者」という。)に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指し、例え ば、以下のもの等が含まれる。

・ 職務上の地位が上位の者による言動
・ 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務

の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
・ 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

(5) 「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは、社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又は その態様が相当でないものを指し、例えば、以下のもの等が含まれる。

・ 業務上明らかに必要性のない言動
・ 業務の目的を大きく逸脱した言動
・ 業務を遂行するための手段として不適当な言動
・ 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動 この判断に当たっては、様々な要素(当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が

行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者との関係 性等)を総合的に考慮することが適当である。また、その際には、個別の事案における労働者の行動が問題となる場合は、その内容・ 程度とそれに対する指導の態様等の相対的な関係性が重要な要素となることについても留意が必要である。

(6) 「労働者の就業環境が害される」とは、当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なも のとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指す。

この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就 業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当である。

(7) 職場におけるパワーハラスメントは、(1)の1から3までの要素を全て満たすものをいい(客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲 で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。)、個別の事案についてその該当性を 判断するに当たっては、(5)で総合的に考慮することとした事項のほか、当該言動により労働者が受ける身体的又は精神的な苦痛の程 度等を総合的に考慮して判断することが必要である。

このため、個別の事案の判断に際しては、相談窓口の担当者等がこうした事項に十分留意し、相談を行った労働者(以下「相談者」と いう。)の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、相談者及び行為者の双方から丁寧に事実 確認等を行うことも重要である。

これらのことを十分踏まえて、予防から再発防止に至る一連の措置を適切に講じることが必要である。 職場におけるパワーハラスメントの状況は多様であるが、代表的な言動の類型としては、以下のイからヘまでのものがあり、当該言動の 類型ごとに、典型的に職場におけるパワーハラスメントに該当し、又は該当しないと考えられる例としては、次のようなものがある。

ただし、個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ること、また、次の例は限定列挙ではないことに十分留意し、4(2)ロ にあるとおり広く相談に対応するなど、適切な対応を行うようにすることが必要である。

なお、職場におけるパワーハラスメントに該当すると考えられる以下の例については、行為者と当該言動を受ける労働者の関係性を個 別に記載していないが、(4)にあるとおり、優越的な関係を背景として行われたものであることが前提である。

イ 身体的な攻撃(暴行・傷害)

(イ)該当すると考えられる例
1 殴打、足蹴りを行うこと。
2 相手に物を投げつけること。

(ロ)該当しないと考えられる例 1 誤ってぶつかること。

ロ 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)

(イ)該当すると考えられる例
1 人格を否定するような言動を行うこと。相手の 性的指

向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む。
2 業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱

責を繰り返し行うこと。
3 他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り

返し行うこと。
4 相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等

を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること。

(ロ)該当しないと考えられる例
1 遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意

してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注

意をすること。

2 その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行 動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。

ハ 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)

(イ)該当すると考えられる例
1 自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間

にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。
2 一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立

させること。 (ロ)該当しないと考えられる例

1 新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別 室で研修等の教育を実施すること。

2 懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務 に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修 を受けさせること。

ニ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行 不可能なことの強制・仕事の妨害)

(イ)該当すると考えられる例
1 長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環

境下での勤務に直接関係のない作業を命ずる

こと。
2 新卒採用者に対し、必要な教育を行わないま

ま到底対応できないレベルの業績目標を課し、

達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。 3 労働者に業務とは関係のない私的な雑用の

処理を強制的に行わせること。 (ロ)該当しないと考えられる例

1 労働者を育成するために現状よりも少し高い レベルの業務を任せること。

2 業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該 業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業 務の処理を任せること。

ホ 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験 とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや 仕事を与えないこと)

(イ)該当すると考えられる例

1 管理職である労働者を退職させるため、誰 でも遂行可能な業務を行わせること。

2 気にいらない労働者に対して嫌がらせのた めに仕事を与えないこと。

(ロ)該当しないと考えられる例

1 労働者の能力に応じて、一定程度業務内容 や業務量を軽減すること。

ヘ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

(イ)該当すると考えられる例
1 労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物

の写真撮影をしたりすること。
2 労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療

等の機微な個人情報について、当該労働者の了

解を得ずに他の労働者に暴露すること。 (ロ)該当しないと考えられる例

1 労働者への配慮を目的として、労働者の家族 の状況等についてヒアリングを行うこと。

2 労働者の了解を得て、当該労働者の性的指 向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情 報について、必要な範囲で人事労務部門の担当 者に伝達し、配慮を促すこと。

この点、プライバシー保護の観点から、ヘ(イ)2のように

機微な個人情報を暴露することのないよう、労働者に周知・ 啓発する等の措置を講じることが必要である。

3 事業主等の責務

(1) 事業主の責務

法第30条の3第2項の規定により、事業主は、職場におけるパワーハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるパワー ハラスメントに起因する問題(以下「パワーハラスメント問題」という。)に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、 当該労働者が他の労働者(他の事業主が雇用する労働者及び求職者を含む。(2)において同じ。)に対する言動に必要な注意を払う よう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる同条第1項の広報活動、啓発活動その他の措置に協力するように努 めなければならない。なお、職場におけるパワーハラスメントに起因する問題としては、例えば、労働者の意欲の低下などによる職場 環境の悪化や職場全体の生産性の低下、労働者の健康状態の悪化、休職や退職などにつながり得ること、これらに伴う経営的な損 失等が考えられる。

また、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、パワーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、労 働者(他の事業主が雇用する労働者及び求職者を含む。)に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。

(2) 労働者の責務

法第30条の3第4項の規定により、労働者は、パワーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必 要な注意を払うとともに、事業主の講ずる4の措置に協力するように努めなければならない。page6image596060016page6image596061584

4 事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関し雇用管理上

講ずべき措置の内容

事業主は、当該事業主が雇用する労働者又は当該事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)が行う職場における パワーハラスメントを防止するため、雇用管理上次の措置を講じなければならない。

(1) 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

事業主は、職場におけるパワーハラスメントに関する方針の明確化、労働者に対するその方針の周知・啓発として、次の措置 を講じなければならない。

なお、周知・啓発をするに当たっては、職場におけるパワーハラスメントの防止の効果を高めるため、その発生の原因や背景に ついて労働者の理解を深めることが重要である。その際、職場におけるパワーハラスメントの発生の原因や背景には、労働者同 士のコミュニケーションの希薄化などの職場環境の問題もあると考えられる。そのため、これらを幅広く解消していくことが職場に おけるパワーハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要である。

イ 職場におけるパワーハラスメントの内容及び職場におけ
るパワーハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化
し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
(事業主の方針等を明確化し、労働者に周知・啓発している 規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。 と認められる例)

文書において、職場におけるパワーハラスメントを行って はならない旨の方針を規定し、当該規定と併せて、職場 におけるパワーハラスメントの内容及びその発生の原因 や背景を労働者に周知・啓発すること。

2 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓 発のための資料等に職場におけるパワーハラスメントの 内容及びその発生の原因や背景並びに職場におけるパ ワーハラスメントを行ってはならない旨の方針を記載し、 配布等すること。

3 職場におけるパワーハラスメントの内容及びその発生 の原因や背景並びに職場におけるパワーハラスメントを 行ってはならない旨の方針を労働者に対して周知・啓発 するための研修、講習等を実施すること。

1 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた 文書において、職場におけるパワーハラスメントに係る言 動を行った者に対する懲戒規定を定め、その内容を労働 者に周知・啓発すること。

2 職場におけるパワーハラスメントに係る言動を行った者 は、現行の就業規則その他の職場における服務規律等 を定めた文書において定められている懲戒規定の適用 の対象となる旨を明確化し、これを労働者に周知・啓発 すること。

ロ 職場におけるパワーハラスメントに係る言動を行った者に ついては、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就 業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に

(対処方針を定め、労働者に周知・啓発していると認められ 1 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた る例)page7image597291632page7image597293200

(2) 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備事業主は、労働者からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制の整備として、次の措

置を講じなければならない。

イ 相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という。)をあらかじめ定め、労働者に周知すること。 (相談窓口をあらかじめ定めていると認められる例)

1 相談に対応する担当者をあらかじめ定めること。 2 相談に対応するための制度を設けること。
3 外部の機関に相談への対応を委託すること。

ロ イの相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、相談窓口におい ては、被害を受けた労働者が萎縮するなどして相談を躊躇する例もあること等も踏まえ、相談者の心身の状況や当該言動 が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、職場におけるパワーハラスメントが現実に生じている場合だけ でなく、その発生のおそれがある場合や、職場におけるパワーハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く 相談に対応し、適切な対応を行うようにすること。例えば、放置すれば就業環境を害するおそれがある場合や、労働者同士 のコミュニケーションの希薄化などの職場環境の問題が原因や背景となってパワーハラスメントが生じるおそれがある場合 等が考えられる。

(相談窓口の担当者が適切に対応することができるようにしていると認められる例)
1 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、その内容や状況に応じて、相談窓口の担当者と人事部門とが連携を図るこ

とができる仕組みとすること。
2 相談窓口の担当者が相談を受けた場合、あらかじめ作成した留意点などを記載したマニュアルに基づき対応すること。 3 相談窓口の担当者に対し、相談を受けた場合の対応についての研修を行うこと。page8image597742928page8image597743216page8image597743504page8image597743792page8image597744080page8image597744368page8image597744656page8image597745072

(3) 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

事業主は、職場におけるパワーハラスメントに係る相談の申出があった場合において、その事案に係る事実関係の迅速かつ正確な 確認及び適正な対処として、次の措置を講じなければならない。

イ 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。 (事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認していると認めら れる例)
1 相談窓口の担当者、人事部門又は専門の委員会等が、相

ハ イにより、職場におけるパワーハラスメントが生じた事実が確 認できた場合においては、行為者に対する措置を適正に行うこ と。

(措置を適正に行っていると認められる例) 談者及び行為者の双方から事実関係を確認すること。その際、 1 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書

相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止め などその認識にも適切に配慮すること。

また、相談者と行為者との間で事実関係に関する主張に不 一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合 には、第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずるこ と。

2 事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困 難な場合などにおいて、法第30条の6に基づく調停の申請を 行うことその他中立な第三者機関に紛争処理を委ねること。

ロ イにより、職場におけるパワーハラスメントが生じた事実が確認 できた場合においては、速やかに被害を受けた労働者(以下「被 害者」という。)に対する配慮のための措置を適正に行うこと。 (措置を適正に行っていると認められる例)

1 事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者の間の関係改 善に向けての援助、被害者と行為者を引き離すための配置 転換、行為者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復、 管理監督者又は事業場内産業保健スタッフ等による被害者 のメンタルヘルス不調への相談対応等の措置を講ずること。

2 法第30条の6に基づく調停その他中立な第三者機関の紛争 解決案に従った措置を被害者に対して講ずること。

における職場におけるパワーハラスメントに関する規定等に 基づき、行為者に対して必要な懲戒その他の措置を講ずるこ と。あわせて、事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者の 間の関係改善に向けての援助、被害者と行為者を引き離す ための配置転換、行為者の謝罪等の措置を講ずること。

2 法第30条の6に基づく調停その他中立な第三者機関の紛 争解決案に従った措置を行為者に対して講ずること。

ニ 改めて職場におけるパワーハラスメントに関する方針を周知・ 啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること。

なお、職場におけるパワーハラスメントが生じた事実が確認 できなかった場合においても、同様の措置を講ずること。

(再発防止に向けた措置を講じていると認められる例)
1 職場におけるパワーハラスメントを行ってはならない旨の方

針及び職場におけるパワーハラスメントに係る言動を行った 者について厳正に対処する旨の方針を、社内報、パンフレット、 社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に改めて 掲載し、配布等すること。

2 労働者に対して職場におけるパワーハラスメントに関する 意識を啓発するための研修、講習等を改めて実施すること。

(4) (1)から(3)までの措置と併せて講ずべき措置

(1)から(3)までの措置を講ずるに際しては、併せて次の措置を講じなければならない。

イ 職場におけるパワーハラスメントに係る相談者・行為者等の情 報は当該相談者・行為者等のプライバシーに属するものである ことから、相談への対応又は当該パワーハラスメントに係る事後 の対応に当たっては、相談者・行為者等のプライバシーを保護 するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対し て周知すること。なお、相談者・行為者等のプライバシーには、 性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報も含ま れるものであること。 (相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措 置を講じていると認められる例)

1 相談者・行為者等のプライバシーの保護のために必要な事 項をあらかじめマニュアルに定め、相談窓口の担当者が相談 を受けた際には、当該マニュアルに基づき対応するものとす ること。

2 相談者・行為者等のプライバシーの保護のために、相談窓 口の担当者に必要な研修を行うこと。

3 相談窓口においては相談者・行為者等のプライバシーを保 護するために必要な措置を講じていることを、社内報、パンフ レット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に 掲載し、配布等すること。

ロ 法第30条の2第2項、第30条の5第2項、第30条の6第2項の 規定を踏まえ、労働者が職場におけるパワーハラスメントに関し 相談をしたこと若しくは事実関係の確認等の事業主の雇用管理 上講ずべき措置に協力したこと、都道府県労働局に対して相談、 紛争解決の援助の求め若しくは調停の申請を行ったこと又は調 停の出頭の求めに応じたこと(以下「パワーハラスメントの相談 等」という。)を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない 旨を定め、労働者に周知・啓発すること。 (不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者にその周知・啓発 することについて措置を講じていると認められる例)

1 就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に おいて、パワーハラスメントの相談等を理由として、労働者が解 雇等の不利益な取扱いをされない旨を規定し、労働者に周知・ 啓発をすること。

2 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発の ための資料等に、パワーハラスメントの相談等を理由として、 労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を記載し、労 働者に配布等すること。

5 事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関し行うことが望ましい取組の内容

事業主は、当該事業主が雇用する労働者又は当該事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)が行う職場における パワーハラスメントを防止するため、4の措置に加え、次の取組を行うことが望ましい。

(1) 職場におけるパワーハラスメントは、セクシュアルハラスメント(事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用 管理上講ずべき措置等についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)に規定する「職場におけるセクシュアルハラスメント」 をいう。以下同じ。)、妊娠、出産等に関するハラスメント(事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関し て雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成28年厚生労働省告示第312号)に規定する「職場における妊娠、出産等に関 するハラスメント」をいう。)、育児休業等に関するハラスメント(子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業 生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針(平成21年厚生労働省告示第509 号)に規定する「職場における育児休業等に関するハラスメント」をいう。)その他のハラスメントと複合的に生じることも想定されるこ とから、事業主は、例えば、セクシュアルハラスメント等の相談窓口と一体的に、職場におけるパワーハラスメントの相談窓口を設 置し、一元的に相談に応じることのできる体制を整備することが望ましい。

(一元的に相談に応じることのできる体制の例)

1 相談窓口で受け付けることのできる相談として、職場におけるパワーハラスメントのみならず、セクシュアルハラスメント等も明 示すること。

2 職場におけるパワーハラスメントの相談窓口がセクシュアルハラスメント等の相談窓口を兼ねること。page11image598701984

(2) 事業主は、職場におけるパワーハラスメントの原因や背景となる要因を解消するため、次の取組を行うことが望ましい。

なお、取組を行うに当たっては、労働者個人のコミュニケーション能力の向上を図ることは、職場におけるパワーハラスメントの行為 者・被害者の双方になることを防止する上で重要であることや、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導につ いては、職場におけるパワーハラスメントには該当せず、労働者が、こうした適正な業務指示や指導を踏まえて真摯に業務を遂行す る意識を持つことも重要であることに留意することが必要である。

イ コミュニケーションの活性化や円滑化のために研修等の必要な取組を行うこと。 (コミュニケーションの活性化や円滑化のために必要な取組例)
1 日常的なコミュニケーションを取るよう努めることや定期的に面談やミーティングを行うことにより、風通しの良い職場環境や

互いに助け合える労働者同士の信頼関係を築き、コミュニケーションの活性化を図ること。
2 感情をコントロールする手法についての研修、コミュニケーションスキルアップについての研修、マネジメントや指導についての

研修等の実施や資料の配布等により、労働者が感情をコントロールする能力やコミュニケーションを円滑に進める能力等の向上

を図ること。
ロ 適正な業務目標の設定等の職場環境の改善のための取組を行うこと。

(職場環境の改善のための取組例)
1 適正な業務目標の設定や適正な業務体制の整備、業務の効率化による過剰な長時間労働の是正等を通じて、労働者に過度

に肉体的・精神的負荷を強いる職場環境や組織風土を改善すること。

(3) 事業主は、4の措置を講じる際に、必要に応じて、労働者や労働組合等の参画を得つつ、アンケート調査や意見交換等を実施する などにより、その運用状況の的確な把握や必要な見直しの検討等に努めることが重要である。なお、労働者や労働組合等の参画を 得る方法として、例えば、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第18条第1項に規定する衛生委員会の活用なども考えられる。

6 事業主が自らの雇用する労働者以外の者に対する言動に関し行うことが望ましい取組の内容

3の事業主及び労働者の責務の趣旨に鑑みれば、事業主は、当該事業主が雇用する労働者が、他の労働者(他の事業主が雇 用する労働者及び求職者を含む。)のみならず、個人事業主、インターンシップを行っている者等の労働者以外の者に対する言動 についても必要な注意を払うよう配慮するとともに、事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)自らと労働者も、労 働者以外の者に対する言動について必要な注意を払うよう努めることが望ましい。

こうした責務の趣旨も踏まえ、事業主は、4(1)イの職場におけるパワーハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化等を 行う際に、当該事業主が雇用する労働者以外の者(他の事業主が雇用する労働者、就職活動中の学生等の求職者及び労働者 以外の者)に対する言動についても、同様の方針を併せて示すことが望ましい。 また、これらの者から職場におけるパワーハラスメントに類すると考えられる相談があった場合には、その内容を踏まえて、4の措 置も参考にしつつ、必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい。

7 事業主が他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為

に関し行うことが望ましい取組の内容

事業主は、取引先等の他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)からの パワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為(暴行、脅迫、ひどい暴言、著しく不当な要求等)により、その雇用する労働者 が就業環境を害されることのないよう、雇用管理上の配慮として、例えば、(1)及び(2)の取組を行うことが望ましい。また、(3)のよう な取組を行うことも、その雇用する労働者が被害を受けることを防止する上で有効と考えられる。

(1) 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

事業主は、他の事業主が雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為に関する労働者から の相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制の整備として、4(2)イ及びロの例も参考にし つつ、次の取組を行うことが望ましい。

また、併せて、労働者が当該相談をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者 に周知・啓発することが望ましい。

イ 相談先(上司、職場内の担当者等)をあらかじめ定め、これを労働者に周知すること。
ロ イの相談を受けた者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。

(2) 被害者への配慮のための取組

事業主は、相談者から事実関係を確認し、他の事業主が雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷 惑行為が認められた場合には、速やかに被害者に対する配慮のための取組を行うことが望ましい。 (被害者への配慮のための取組例)

事案の内容や状況に応じ、被害者のメンタルヘルス不調への相談対応、著しい迷惑行為を行った者に対する対応が必要な場 合に一人で対応させない等の取組を行うこと。

(3) 他の事業主が雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為による被害を防止する ための取組

(1)及び(2)の取組のほか、他の事業主が雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為からその 雇用する労働者が被害を受けることを防止する上では、事業主が、こうした行為への対応に関するマニュアルの作成や研修の実 施等の取組を行うことも有効と考えられる。

また、業種・業態等によりその被害の実態や必要な対応も異なると考えられることから、業種・業態等における被害の実態や業 務の特性等を踏まえて、それぞれの状況に応じた必要な取組を進めることも、被害の防止に当たっては効果的と考えられる。

セクシュアルハラスメントに関するハラスメント防止の ための指針 (改正内容)

※パワハラ指針と同様に改正した箇所は前述のとおり 事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針の

一部改正

○ 2(4)に以下の下線部分の記載を追加する。

令和2年1月15日厚生労働省告示第6号

2 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容
(4) 「性的な言動」とは、・・・含まれる。当該言動を行う者には、労働者を雇用する事業主(その者が法人である場合にあっては

その役員。以下この(4)において同じ。)、上司、同僚に限らず、取引先等の他の事業主又はその雇用する労働者、顧客、 患者又はその家族、学校における生徒等もなり得る。

○ 3(3)イ及びニに以下の下線部分の記載を追加する。

3 事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関し雇用管理上講ずべき措置の内容 (3) 職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

イ 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。なお、セクシュアルハラスメントに係る性的な言動の行為者が、他 の事業主が雇用する労働者又は他の事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)である場合には、必要に 応じて、他の事業主に事実関係の確認への協力を求めることも含まれる。

ニ 改めて職場におけるセクシュアルハラスメントに関する方針を周知・啓発する等の再発防止に向けた措置を講ずること。 なお、セクシュアルハラスメントに係る性的な言動の行為者が、他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主(その者 が法人である場合にあっては、その役員)である場合には、必要に応じて、他の事業主に再発防止に向けた措置へ協力 を求めることも含まれる。

○ 3の次に以下の記載を追加する。

◆ 他の事業主の講ずる雇用管理上の措置の実施に関する協力 法第11条第3項の規定により、事業主は、当該事業主が雇用する労働者又は当該事業主(その者が法人である場合にあって

は、その役員)による他の事業主の雇用する労働者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントに関し、他の事業主から、 事実関係の確認等の雇用管理上の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければな らない。

また、法第11条第3項の規定の趣旨に鑑みれば、事業主が、他の事業主から雇用管理上の措置への協力を求められたことを 理由として、当該事業主に対し、当該事業主との契約を解除する等の不利益な取扱いを行うことは望ましくないものである。

妊娠、出産等に関するハラスメント防止のための指針 (改正内容)

※パワハラ指針と同様に改正した箇所は前述のとおり 事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置に

ついての指針の一部改正

○ 3(1)に下線部分の記載を追加する。

令和2年1月15日厚生労働省告示第6号

(1)事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発 ・・・なお、周知・啓発をするに当たっては、職場における妊娠、出産等に関するハラスメントの防止の効果を高めるため、その発 生の原因や背景について労働者の理解を深めることが重要である。その際、職場における妊娠、出産等に関するハラスメント の発生の原因や背景には、(i)妊娠、出産等に関する否定的な言動(不妊治療に対する否定的な言動を含め、他の女性労働 者の妊娠、出産等の否定につながる言動(当該女性労働者に直接行わない言動も含む。)をいい、単なる自らの意思の表明を 除く。以下同じ。)が頻繁に行われるなど制度等の利用又は制度等の利用の請求等をしにくい職場風土や、(ii)制度等の利用 ができることの職場における周知が不十分であることなどもあると考えられる。そのため、これらを解消していくことが職場にお ける妊娠、出産等に関するハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要である。

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