【SAP】標準原価計算のマスタ設定についてわかりやすく解説!

SAPで標準原価計算をするためには、事前のマスタ設定が重要です。

このマスタ設定が標準原価の99%を占めているといっても過言ではありません。

そのため、このマスタ設定が初めての人にとっては理解するのにハードルが高い部分なのですが、この記事では初心者でも分かるようにかみ砕いて解説をしていきます。

Contents

標準原価計算 実施手順

標準原価計算の実施手順はこちらの記事で解説しています。

まずはこちらの記事で全体感をつかんだ後に、この記事の事前マスタ設定について読んだ方が理解が進みやすいかと思います。ノマドSAPコンサル【SAP】標準原価計算の手順について徹底解説!https://tokulog.org/blog/standardcost/SAPのCO・PPモジュールを使うことにより、品目の標準原価計算をすることができます。この記事では標準原価計算の手順について初心者でも分かるように解説していきます。また、こちらの記事でCOモジュールの概要について解説しています。 CO初めての方はCOモジュール…

標準原価計算のためのマスタ設定手順(概要)

まずマスタ設定手順の全体感から掴んでいただきたいので、初めに設定する全マスタを紹介していきます。

マスタ設定ステップ

標準原価計算のために必要なマスタ設定は、こちらの9つです。標準原価計算_マスタ設定手順

CO・PP・MMのマスタ設定をしていきます。

マスタ紐づきイメージ

こちらがそれぞれのマスタの紐づきのイメージ図です。標準原価計算_マスタ設定紐づき

  • BOM生産する品目と、使用する品目の紐づけを設定
  • 作業手順品目の生産にかかる作業時間・作業区を設定
  • 製造バージョンBOM作業手順の紐づけを設定
  • 作業区:加工費を計上する原価センタと作業時間を計上する項目(活動タイプ)を紐づけ
  • 活動タイプ:作業時間計上の加工費の元となる原価要素を紐づけ
  • 購買情報レコード:品目外注の場合、設定した購買情報レコードを製造バージョンに紐づけ

もう少しイメージをつけてもらうために、具体例を用いて説明します。標準原価計算_マスタ設定紐づき_具体例

BOM生産する品目と、使用する品目の紐づけを設定

→ルゥ 200MLを作るのに、それぞれ必要な品目数量を紐づけ

作業手順品目の生産にかかる作業時間・作業区を設定

→ルゥ 200MLを作るのに、必要な作業・時間 作業するための場所(作業区)を紐づけ

製造バージョンBOM作業手順の紐づけを設定

→ルゥ 200MLを作るのに使用するBOM・作業手順を紐づけ

作業区:加工費を計上する原価センタと作業時間を計上する項目(活動タイプ)を紐づけ

→台所で作業時間を計上するための項目(活動タイプ)となる人時間・機械時間の紐づけ。台所を管理する部門(加工費計上先)となる製造1課を紐づけ。

活動タイプ:作業時間計上の加工費の元となる原価要素を紐づけ

→機械時間が計上されたときの原価要素となる経費費を紐づけ。人時間が計上されたときの原価要素となる労務費を紐づけ。

購買情報レコード:品目外注の場合、設定した購買情報レコードを製造バージョンに紐づけ

→仮にルゥを作るのが外注先だった場合、購買情報レコードで設定した200円を製造バージョンに紐づけ

原価計上のルート

ここで1つ理解しておいてほしいのは、このマスタ設定がどのように原価計上に使われるかです。

(ここ最重要ですよ!!)

製造原価は「材料費」「加工費(労務費・経費の按分)」の2つから成り立っています。(ざっくりというですよ)

まず「材料費」は、BOMを元に算出されます。標準原価計算_材料費_具体例

例えば、BOMの構成品目の標準原価が、100円・200円・・・600円とあったとき、上位品目のルゥの材料費は構成品目標準原価の合計値の2100円になります。

続いて「加工費」ですが、作業手順→作業区→活動タイプ→原価要素 で計上する勘定を紐づけ。 そして作業手順→作業区→原価センタ で計上する先の部門。 と若干ややこしい部分となります。標準原価計算_加工費_具体例

活動単価(賃率)は、原価センタ x 活動タイプで決まります。

例えば、

  • 製造1課 x 機械時間 = 2000円 / H
  • 製造1課 x 人時間 = 1000円 / H

とあったとき、

  • 切る 機械時間:0.3H(600円) 人時間:0.7H(700円)
  • 煮込む 機械時間:0.4H(800円) 人時間:0.6H(600円)

となり、ルゥの加工費は、2100円 になります。

標準原価計算のためのマスタ設定手順(詳細)

それでは9つのマスタの設定について、1つずつ解説していきます。標準原価計算_マスタ設定手順

① 原価要素(T-code:FS00)

原価要素には、「一次原価要素」と「二次原価要素」に分かれます。

一次原価要素は、勘定コードとイコールで、FI・COの両方で使用します。

二次原価要素は、COのみで使用します。 使用ケースとしては、一次原価要素である間接費Aから、製造部門に二次原価要素として配賦する場合に使用します。

二次原価要素は、最終的に加工費に使用したいものをセットしていきます。

② 原価センタ(T-code:KS01)

原価センタは、費用計上先とするマスタです。

例えば、経理部・調達部・製造部といった部門や、塗工工程・組立工程といった工程を原価センタとして設定するケースが多いです。

使用ケースとして、間接費は費用が発生した部門の原価センタに費用計上。 その後、活動単価(加工賃)算出のために工程の原価センタに配賦 といったことにも使用されます。

また原価センタを 原価センタグループとしてグルーピング・階層化することができます。

例えば、製造1課・製造2課・製造3課(原価センタ) を 製造部(原価センタグループ)としてグルーピングで使用します。

グルーピングすることで、製造部全体で使った費用はいくらなんだ、といった原価センタ分析もできます。

③ 活動タイプ(T-code:KL01)

活動タイプとは、作業時間を計上する項目のことです。

設定例としては、

  • 機械時間・人時間
  • 段取時間・作業時間・片付け時間

というように、作業時間を計上する項目をセットしていきます。

また、各活動タイプには原価要素を紐づけます。

そのため、生産視点だけではなく、原価視点でこの活動タイプに計上された加工費は、この原価要素で費用計上するんだ! という要件が必要になってきます。

例えば、

  • 活動タイプ:機械時間 ・・・ 原価要素:減価償却費A
  • 活動タイプ:人時間 ・・・ 原価要素:労務費B

といった形で、どの原価要素で費用計上するかの設定に重要なマスタです。

④ 品目マスタ(T-code:MM01)

品目マスタ設定にて、原材料の標準原価を設定します。 (製品・半製品は標準原価計算で算出されるため、原材料のみマニュアルで設定)

会計1ビュー or 原価2ビューにて、標準原価を設定します。

考え方は、仕入単価でOKですが、仕入先によりボリュームディスカウントなどがある場合は、仕入単価と標準原価が異なる場合もあります。

そのため、必ずしも標準原価 = 仕入単価 としなくてもOKです。

⑤ BOMマスタ(T-code:CS01)

BOMでは生産品目に対し、生産で使用する構成品目をセットしていきます。

構成品目をセットするとき、その構成品目が「原価計算対象とするか・しないか」という設定をします。(構成品目明細-ステップ/長文タブ 原価計算関連フラグ)

基本的には、原価計算関連フラグ = “X” (原価計算対象)としますが、

例えば、原価計算に含めない ガムテープなどの備品や設計書は 原価計算関連フラグ = Blank (原価計算対象外)と設定します。

⑥ 作業区マスタ(T-code:CR01)

作業区では、原価センタ・活動タイプの2つを割り当てます。

原価センタは作業時間に基づく、加工費の計上先。

活動タイプは作業時間を入れる項目(人時間・機械時間など)を設定します。

活動タイプは直接、人時間・機械時間を作業区に割り当てるのではなく、コンフィグで「標準値キー」に活動タイプを割り当てておき、作業区には「標準値キー」をセットします。作業区・標準値キー・活動タイプ

⑦ 作業手順マスタ(T-code:CA01)

作業手順では、生産品目に対し、作業場所である作業区がどこか、それぞれの活動タイプ(作業時間計上項目)で何時間かかるか という設定をします。

活動タイプは作業区に紐づいている活動タイプが自動で導出されます。

⑧ 購買情報レコード(T-code:ME11)

購買情報レコードは、仕入先 x 品目単位で設定します。

購買情報レコードの中で、標準原価計算に重要なのは仕入単価です。

原材料の場合は、品目マスタに設定された標準原価が使われますが、

品目外注品の場合、支給品(構成品)に対し、外注加工費(仕入単価)を上乗せした金額が外注品の標準原価となります。

そのため、品目外注品の場合は、購買情報レコードの仕入単価が標準原価の外注加工費として使われるため、設定が必要になります。

⑨ 製造バージョン(T-code:C223)

製造バージョンでは、BOM・作業手順の紐づけを行います。

勘の鋭い人は なぜ? BOMでも生産品目を指定してるし、作業手順でも生産品目を指定してるから、製造バージョンなんて不要なのでは?? という疑問が出てくると思います。

例えば、ある生産品目を生産するのに、夏の暑い時期は構成品Aを30G(蒸発するので)。冬の寒い時期は28G。 という複数のBOMバージョンを持たせたいとします。

作業手順も同様で、このときは作業Aに2H、このときは作業Aに1.5H・作業Bに0.5 といった複数バージョンを持たせたいとします。

BOMは、代替BOM というキー項目で複数バージョン持たせられます。

作業手順は、グループカウンタというキー項目で複数バージョン持たせられます。

製造バージョンでは、このBOM・作業手順でも、どの代替BOMを使う? どのグループカウンタを使う? という組合せ情報をセットする必要があります。

また品目外注の場合、作業手順の代わりに購買情報レコードをセットします。

サマリ

「原価計上のルート」で説明したとおり、標準原価計算の99%がマスタ設定で決まるということを理解いただけたかと思います。

マスタ設定さえできていれば、あとは自動で標準原価計算のプログラムを流すだけです。

そのため標準原価計算には、このマスタ設定が最重要となるので、この記事をとおして少しでも理解を深めていただけたのであれば、幸いです。

カテゴリー:

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中