
なんとなくわかるようで、意外とよくわかっていない「反対仕訳」について解説します。反対仕訳?マイナス転記?という疑問に回答していきます。
このページはSAPでの「反対仕訳」について解説していますが、前半はSAP関係なく一般的な簿記の解説なので、反対仕訳のみを知りたい方も是非ご覧ください。スポンサーリンク目次
前提:反対仕訳とは?
反対仕訳とは、どのような業務なのか。SAPの解説に移る前に、簡単に実際の業務について説明していきます。
なお、現場によっては「逆仕訳」とも呼ばれますが、このページでは基本的に「反対仕訳」の単語で統一します。SAPの世界では、逆仕訳という単語ではなく「反対仕訳」が用いられるためです。
実際の業務では、どちらの表現も同じ意味で用いられますので、特に縛りはありませんので、あまり気にしなくてOKです。
※簿記3級の知識がある方は、読み飛ばしていただいてOKです。
反対仕訳:計上した伝票の取消
反対仕訳とは、「間違って計上した伝票を取消する」ことです。早速ですが、以下の例を見てみましょう。
業務例)売上が3500円あり、現金で対価を受け取った場合
SAPに転記する仕訳 現金 3500円 / 売上 3500円
実際は上記のように仕訳を打つべきなのですが、SAPにかかわらず仕訳を誤って登録してしまうことは多々あります。
今回の例では、以下のように「勘定コード」を誤って設定してしまった場合を考えていきます。
誤って転記した仕訳 普通預金3500円 / 売上 3500円
もし、この誤り(赤字部分)に気付いた際、伝票がまだ未転記の状態であれば、伝票を削除することができます。
ですが、転記済の場合は伝票の削除が行えません。
では、どうすればよいのか?
ここで登場するのが「反対仕訳(逆仕訳)」です。ざっくり言うと以下のような貸借逆の仕訳を投入し、誤った金額と相殺する考え方です。これによって財務諸表出力の際に正しい金額で表示されることになります。
したがって、修正仕訳は以下のようになります。
修正仕訳 売上 3500円 / 普通預金 3500円
※本ページで解説する「反対仕訳理由」の制御によって、仕訳の形は様々形を変えます。
こうすることによって、誤って転記した仕訳を修正仕訳が打ち消してくれるような形で財務諸表に乗る形になります。これが、反対仕訳という業務です。
誤って転記した仕訳 普通預金3500円 / 売上 3500円
修正仕訳 売上 3500円 / 普通預金 3500円
SAPでの反対仕訳投入手順
実際の業務・簿記の計上方法を理解したところで、SAP上での反対仕訳の投入方法を解説していきます。
原則として、SAPでの反対仕訳の処理は必ず反対仕訳と紐づける形で登録することになります。
つまり、貸借逆の仕訳をFB01(伝票登録画面)から登録する、ということはありません。反対仕訳専用の機能を利用します。
FB08:伝票の反対仕訳
これは、代表的なトランザクションコードなので、是非覚えておきましょう。
※そもそも「トランザクションコードって何?」という方はこちら。

トランザクションコード:FB08では「伝票の反対仕訳:ヘッダデータ」という画面が表示されます。画面を見て頂ければわかる通り、各項目(伝票番号や会社コードなど)を説明にしたがって入力していくだけの簡単な画面です。
