製品の製造で不良品が多く発生し、解決策が見つからず困っていませんか?SPCを適切に実施することで、不良品の発生を未然に抑えることが可能です。この記事ではSPCの概要から、SQCとの違いや共通点、そしてSPC管理を行う方法まで解説します。ぜひ、自社の工程管理を見直す参考にしてください。工程管理システム の製品を調べて比較製品をまとめて資料請求!資料請求フォームはこちら工程管理システムの資料請求ランキングで製品を比較! 今週のランキング第1位は?目次 [非表示]
SPC(統計的工程管理)とは
SPCとは「Statistical Process Control」の略で、日本語に訳すと「統計的工程管理」となります。製品の品質保証と工程管理の改善のために、各製造工程のデータを統計的に処理を行う方法のことです。では、その概要を見ていきましょう。
工程を改善するための統計的な管理手法
従来の工程管理は、すべての製造工程が完了してから完成品をチェックし、異常があるものを排除するという方法でした。しかし、これでは製造に無駄な手間がかかります。
そこで導入されたのがSPCです。これは、完成品の品質を左右するデータを各製造工程で測定・監視して、最終段階で不良品が出ないようにする方法です。具体的には、製造工程でさまざまなデータを取得し、それを統計学的に処理することで、工程異常を防ぎます。
製造にかかる手間が大幅に削減するため製造工程が効率化します。さらに、不良品を取り除くのではなく不良品の発生を未然に防ぐことで、費用の無駄を無くすことができるのも特徴です。
管理図を用いて管理する
SPCでは「管理図」と呼ばれるグラフを用いることが多いです。これは、偶発的に生じた品質のばらつきと、何かしらの異常に起因するばらつきを区別するために使われます。
偶発的に生じたばらつきは、原因を調べても仕方がありません。しかし異常に起因するものは、迅速にその異常を特定し、原因を除去する必要があります。
管理図にはいくつかの種類がありますが、代表的なのはXbarーR(エックスバー・アール)管理図です。これには管理限界線が上下に引かれ、その間を品質(長さや重さ)の平均値や範囲(最大値-最小値)が上下します。
平均値や範囲が管理境界線を超えたり、特定の状態(異様な偏りなど)が見られたりした場合、異常が発生したといえます。
Cpkを用いて管理する
管理図のほかにも、製造工程が健全か判断できる「Cpk」を用います。Cpkは工程能力指数とも呼ばれ、規格を満たす製品を安定して作り続ける製造工程の能力のことです。この数値が大きいほど、品質が安定しているといえます。
具体的には、XbarーR管理図を使って、Cpkは以下の2つのうち数値が小さいほうと定義されます。
- ■(CL-LSL)/3σ
- ■(USL-CL)/3σ
計算式の項の意味は以下のとおりです。
- ■CL=品質(Xbar)の平均値
- ■LSL=下方規格限界(下の管理境界線)
- ■USL=上方規格限界(上の管理境界線)
- ■σ=標準偏差
上記の2つの計算式はどちらも、限界値と平均値の差を3σで割ったものです。したがって、Cpkの数値は、製品品質が不安定になる(平均値が限界値に近づく)につれ、小さくなります。
SPCとSQCの違い・共通点
SPCと似た概念に、SQCがあります。SQCとは「Statistical Quality Control」の略で、日本語に訳すと「統計的品質管理」となります。では、SPCとSQCの違いや共通点を見ていきましょう。
SQCは工程ではなく品質を管理する
SPCが「統計的工程管理」なのに対し、SQCは「統計的品質管理」です。つまり、両者は管理対象が工程か品質かという点で異なります。
SQCの目的は、製造業において材料や従業員が製品の品質に与える影響を管理・改善することです。そのために、製造工程や製品からデータを収集し、統計学的な処理を行います。
ただし、その作業自体はSPCと非常に似通っています。したがって、両者は目的こそ違えど、実質的には同じものだとする声もあります。
いずれもQC七つの道具を用いる
SPCとSQCはどちらも統計的手法を用いる方法であり、QC七つの道具を使うという共通点があります。QC七つの道具は以下の7つです。チェックシート現場での作業状況をチェックする際に使うシートパレート図不良やクレーム件数を棒グラフと累積曲線で示した図管理図品質の推移を示す折れ線グラフに管理境界線を加えた図ヒストグラムばらつきの全容を把握するための図特性要因図結果と原因を矢印で示す図散布図2つの変数を軸としたグラフ上に打点し、データの傾向を把握するための図層別データをいくつかの層に分類し、それぞれの特徴を探る考え方
SPC管理を行う方法
工程管理ツールを利用すると、SPC管理を適切に行えます。工程管理ツールとは、SPCに必要なさまざまな機能を備えたITツールです。
たとえば、センサやコントローラから自動で製品情報を収集し、管理図を表示する機能があります。これにより、データの収集と管理にかかる手間が大幅に削減するでしょう。製品によってはリアルタイムな状況把握も可能なため、異常発生時には迅速に対応できます。
また、ITツールだけでなく、データ解析やコンサルティング、セミナーまで提供しているサービスもあります。それらを利用することで、自社の負担を抑えつつ、高度なSPCが実現するでしょう。
また、そこまで高度なものではなく、基本的なデータ解析機能でSPCを円滑化するツールもあります。必要なデータや項目を入力し、分析モデルや管理図を指定することでデータを解析できます。
自社が目指すSPCのレベルに応じて、適切なツールを選びましょう。
SPCを理解し、工程管理を適切に行おう
SPCは統計的工程管理という意味で、統計的手法を用いて製造工程を管理することを指します。管理図やCpkを用いて、製造工程の正常性を管理します。SQCはSPCと違い、品質を管理することです。ただし、QC七つの道具を用い、統計的手法でデータを処理する点は共通しています。