人間の本性 丹羽宇一郎 要約

はじめに

人間のこころの在り方は時代が変わっても普遍的なテーマであるからこそ古今東西の哲学者は「人間とな何か」を探求し続けています。歳を重ねても人を妬んだり、恨んだり自己中心的な人がいるし自分もついついそんな心持ちになったりします。この深遠な人間の本性について伊藤忠商事元会長、元中国大使で稀代の読書家でもある著者がその豊富な人生経験から語っています。

第1章 死ぬまで未完成

人間には動物の血と理性の血がながれています。どんなに善人でも動物の血は潜んでいますし、どんなに悪人でも理性の血を持っているはずです。

生物進化の歴史を見ても人類誕生は生命誕生に比べて大変短いので動物の血の方が強いです。

だからといって動物の血が求めるままに振る舞っていいわけではないです。理性も磨く必要があります。

人生の核心は動物の心と理性の心をコントロールすることにあるといっても過言ではないです。

人は自分のためだけにいきるのではなく、他人を意識し、人のために何かをする「利他の精神」があってこそ人間になります。

人は悩みがあるからそれを解決して前へ進もうと知恵をだしたり工夫したりして頑張れます。問題は生きている限りついてまわるものです。問題はあって当たり前なのです。

お金持ちだから勝ち組、失敗したら負け組という世の中の価値観が蔓延してますが、人生の勝ち負けというのはそういうところにはありません。人間として誠実に生きることです。最後の死に顔が幸不幸を語ってくれます。

年齢を重ねていくと身内が亡くなっていったり体力が落ちたりして寂しさが出てきますが、それは自然現象として当然のことです。勿論寂しいことですが、歳をとることが得ることと感じるようになるには努力次第です。

思い通りにいかないと嘆くより、そもそも人生とは思い通りにいくことは、そうそうあるものではないです。何もかも思い通りにいったら人生は退屈します。

人は一人では生きているわけではなく様々な人との関わりで人生は成り立っています。

第2章 AI時代の「生き方」の作法

デカルトの「我思う、ゆえに我あり」のように「疑う」ことは人間を人間たらしめます。

AIが進化することが対比になって人間にしかできない可能性を浮き彫りにしてくれます。

不安も問題と同じで無くなるものではありません。動物としての生存本能から来るもので次から次に不安は生まれてきます。そんな不安と戦うことで人は成長します。不安に感じてもそこから目を逸らしてはいけません。不安から逃げれば一層大きくなります。

不安に打ち勝つ方法は、これ以上やれないところまで一生懸命にやり尽くすことです。やれるだけやったからあとは天明を待つという達観こそが不安を乗り越える要素です。

人間は完全に理解し合えることはありません。必要以上に期待をすると失望することになります。

加齢とともに怒りっぽくなるのは脳科学的に説明できます。怒りの感情は大脳辺縁系で作られます。それを抑制するのが前頭葉です。加齢とともに前頭葉の機能が衰えてくるのです。身体の機能の衰えだけでなくIT化や若者の接し方も昔と変わってきているので高齢者が怒りやすくなる条件を背負っています。

怒ることが悪いわけではなく、マナーの悪い振る舞いに怒ったり、汚職にまみれた政治に怒ったり、これに怒りを感じないと逆に人間らしさが失われてしまいます。

不断から必要以上に怒らないようにするには他人に期待しすぎたり頼りすぎたりしないようにすることが肝要です。

第3章 人間としての「幸せ」の構造

目先の損得だけに囚われて行動していると無意識のうちに大きな損をしていることがあります。

金銭の損得ばかり考えていると人生は干からびて面白味も何もない心貧しいものになります。損得勘定ばかりの生き方から離れるには楽しいかどうか、面白いかどうか、気持ちがいいかどうかという選択肢を取り入れるとよいです。

お金持ちというのはお金の量に比例して幸せかというと、決してそうではないです。ノーベル経済学賞受賞者の研究によると年収800万までは感情的幸福は収入に比例して増えるが、それを越すと幸福感は頭打ちになります。そして年収1500万を越すと逆に幸福度が下がってきます。その理由はその生活水準が下がるのが怖いという不安感情を持ち始めるからです。その高い収入を維持するために家族サービス、健康、趣味、自由が犠牲になりえます。

お金持ちという結果とお金持ちの苦悩との乖離があります。

老子の言葉

人を知る者は知恵はあるが、自分を知るものはもっと聡明である。

人に勝つものは力はあるが、自分に勝つものは真に強い。

志を持ったよい生き方ができるには、己を良く知り、己に勝たなくてはいけない。

人への期待が大きくなるほど不満は膨らみます。期待は常に裏切られるので自分のことはまず自分で行い、自分は何を目標にしていて誰に何を期待しているのかを明確に自覚しておくことが大事です。

相手を頼りにしたり期待したりすることつまり、相手から貰うことより与えることを心掛けることです。

第4章 「努力ができる」のは人間の証し

わたしたちが運がよかった悪かったと思うのは偶然というより長い目で見ると因果応報という必然的な結果です。まっとうな努力と準備で行動すればそれなりのものは返ってきます。

仕事が継続的にうまく行っている人は見えないところで様々な努力をしています。

貧乏くじを引いてしまったと嘆くよりも環境や他人のせいにするより、腐らずやるべきことをやる、真剣に日々努力することが大事です。「禍福は糾える縄の如し」一時不運に見えることはどこかで幸運につながっていたりするものです。

感情はTPOをわきまえて無理に抑えすぎないようにすること。笑う時、怒る時、悲しむ時は感情表現すると人生は豊かになります。

こだわりがある人は、柔軟性がなく頑固であることが多いです。視野が狭くなって全体感を欠くことがあります。芸術分野ではいいかもしれませんが、

こだわり=とらわれ

に気をつけましょう。プライド、信念も同様です。

目標設定は「悲観的(現実的)に考えて楽観的に行動する」ことを心がけるとよい。

小さい目標を設定してクリアしていくことでモチベーションが持続した結果、大きな成果を手に入れることができます。

楽な方を選んだ結果厳しさが待ち受け、厳しさを選んだ結果楽な道が開ける。楽な道に安住していると厳しい結果になる。因果応報の考えを持って行動することが大事です。

第5章 自然体で生きられないのは人間だけ

ストレスを減らそうと意識するより、ストレスという言葉を自分の中から無くせばよい。

仕事はやらされているという気持ちではなく、自分から仕事をしているという自立した考えを持つことが大事です。

人に良く見られたいという虚栄心は程々であれば向上心から努力しようとします。しかし虚栄心は過ぎると誰かを傷つけたりして周りを犠牲にします。

人生にまつわる多くの問題は、社会的な評価や肩書き、地位といったものへの執着から始まります。肩書きや周りの評価が自分の実力だと思い込んでいる人は、生の本当の人生を生きていないのではないでしょうか

人間の本性 p148

第6章 「人間の本質」を受け入れる

ダメな人からも学ぶところは大きいです。そういう姿勢でいると、様々な人との付き合いは常に成長の糧です。人間の洞察力も鍛えられます。

人間の能力というのはそれ程開きはありません。能力の差を決めるのは情熱、気力、努力です。

見たくないものは蓋をしたいというのが人間の本性です。しかし、そのツケは必ず回ってきます。真実を見る勇気こそ人間の証しです。

まとめ

人間の本性は弱さが由来です。それを克服する努力をすることが人間であり、努力をしない者は人間の皮を被った動物です。人の道を外れず、遠回りだと思うことが実際は幸福への近道だったと考えるように生きることが大切です。人としていかに真っ当に生きるかを教えてくれる教科書です。

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