SAPの債権管理(SAP FI-AR 与信管理)

用途

このビジネスプロセスでは、顧客の債権に発生する損失リスクをモニタし、与信限度を利用することで損失を抑えることができます。債権管理 (FI-AR) から SAP 与信管理 (FIN-FSCM-CR) に顧客の未消込明細の現行ステータスが定期的に提供されます。SAP 与信管理では、販売管理 (SD) で新しい受注を受け取って処理するときに与信限度確認を呼び出すことができます。与信限度確認では、受注が顧客の与信限度内にあるかどうかと顧客のスコアの特性が確認されます。これにより、脆弱な財政状態により、未払の請求書に対する顧客の支払が不可能になる時期を早期に認識することができます。この場合、SD を介して顧客に対するそれ以上の出荷を停止して、先に支払を促します。

出荷または出庫の登録時に、与信限度確認を実行することもできます。ここでは、保留されている出荷または出庫をマニュアルでリリースしたり、与信限度確認を繰り返したりすることができます。

このビジネスプロセスでは、SAP 与信管理が先行コンポーネントになります。販売管理 (SD) システムおよび債権管理 (FI-AR) システムから SAP 与信管理システムに与信関連の顧客データが提供されます。SAP 与信管理では、この提供されたデータを更新、チェック、評価します。

プロセスフロー

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       1.      未消込明細のレポート

債権管理により、顧客別に未消込明細が SAP 与信管理にレポートされます。通常、この作業は、債権管理ですべての入金および出金が処理された後に 1 日に 1 回だけ行われます。このステップはバッチ処理として実行することができます。

       2.      債務の更新

XI インタフェースを介して、SAP 与信管理債権管理から顧客の未消込明細に関する情報が渡されます。この情報は債務として顧客の貸方勘定に格納されます。同時に顧客の債務が更新されます。

       3.      支払行動集計のレポート

債権管理では、顧客の未消込明細以外の与信関連データを SAP 与信管理にレポートすることができます。このデータは SAP 与信管理で与信限度確認のさまざまなステップで使用されます。これは、督促処理トランザクション、最も古い未消込明細、最終支払、平均延滞日数 (現金割引あり/なし)、消込済金額 (現金割引あり/なし)、最近 12 ヶ月の売上合計、最近 12 ヶ月の最も高い債務、および DSO (売上債権回転日数) に関する情報です。

非モディフィケーションのカスタマ拡張および BAdI 実装では、追加のキー数値を債権管理から SAP 与信管理に転送することができます。

       4.      支払行動集計の更新

XI インタフェースを介して、SAP 与信管理に債権管理から支払行動集計に関する情報が渡されます。このデータは顧客の貸方勘定に格納され、与信限度確認の際に表示または使用されます。

       5.      受注の登録

SD の従業員は、直接または顧客が承認した前回の条件にもとづいて SD システムに受注を登録します。

このステップは SAP 与信管理から独立して実行されます。ただし、これは後続の与信限度確認の前提条件になります。受注により、顧客、受注額、販売組織などのチェック関連情報が提供されます。

       6.      与信限度確認の呼出

受注に対して後続の処理を行う前に、顧客に十分なスコアがあることと、債務に受注額を足した金額が顧客の与信限度を超えないことを確認します。確認が終了したら、受注に対して後続の処理を行うことができます。

与信限度確認自体は SAP 与信管理で行われます。SD システムでは、SAP 与信管理を呼び出し、受注から必要なデータをそこに転送します。

       7.      与信限度確認の実行

インタフェースを介して、SD システムから SAP 与信管理に必要なすべてのデータが渡されます。除外される与信限度確認は、顧客の与信マスタデータレコードに定義されたチェックルールにもとづきます。

以下のような与信限度確認があります。

○       与信限度額使用の統計チェック

○       与信期間による動的与信限度確認

○       最大督促レベルの確認

○       最大伝票金額の確認

○       最古の未消込明細の経過時間確認

○       支払行動指数の確認 (カスタマ拡張)

実行されたチェックステップの結果は集計され、SD システムに転送され、そこにステータス受注で保存されます。

       8.      受注の自動保留

与信限度を超えると、与信限度確認の結果がマイナスになります。この場合、受注が保留され、後続処理 (商品の配送など) が停止します。

Note

与信限度確認の結果がマイナスでない場合は、受注の後続処理を行うことができます。

       9.      受注金額のレポート

登録された受注によって、たとえば、生産または配送がトリガされます。コストが発生するので、顧客が数週間または数ヶ月先の後払いを行う場合、この承認およびトリガは企業にとってリスクになります。そこで、受注額を債務として SAP 与信管理にレポートします。アプリケーションの設定時に、保留された受注が債務として SAP 与信管理にレポートされるようにするか、または、保留された受注がリリースされた時にレポートされるようにするかを設定します。

   10.      債務の更新

SD システムによってレポートされる受注金額は、顧客の貸方勘定に債務として保存されます。顧客の債務も同時に更新されます。

   11.      顧客スコアの再設定

一定の周期で、与信管理者は SD 内に保留された受注があるかどうかを確認します。

あるいは、顧客の与信限度確認の結果がマイナスになった場合にワークフローを介して与信管理者がその旨の通知を受け取るように設定することもできます。ただし、このワークフローは上記のプロセスバリアントの一部を形成しません

与信管理者は顧客の与信プロファイルを分析して、現行の与信限度がデフォルトリスクに対応するかどうかを確認します。このために、与信管理者は顧客を再評価します。このトランザクションでは、自動評価規則がサポートされています。これらの評価規則の結果が、スコアとなります。

   12.      与信限度の変更

設定されたスコアから、顧客のデフォルト受注可能性に応じて、与信限度を自動的に誘導することができます。与信管理者は、提示された与信限度を受け入れるか、または、マニュアルでこれを調整するかを決定します。最後に顧客が評価されてからスコアが向上している場合、より高い与信限度が提示されます。これによって、以前に保留されていた受注をリリースすることが可能となります。

   13.      与信限度確認の繰り返し

SD において、与信管理者が保留された受注の一覧を呼び出し、再確認する受注を選択します。

   14.      与信限度確認の実行

与信管理者は、選択した受注に対して与信限度確認を繰り返します (上記のステップ 7: 与信限度確認の実行を参照してください)。

   15.      受注のリリース

与信限度確認の結果がプラスの場合、与信管理者はその受注を保存することができます。その後、SD システムにより受注確認が顧客に送信されます。

   16.      出荷の登録

受注処理および出荷処理間の間隔がかなり長いビジネスプロセスでは、出荷の登録時に与信限度確認を再度実行することができます。

   17.      与信限度確認の呼出

ステップ 6 を参照してください。

   18.      与信限度確認の実行

ステップ 7 を参照してください。

   19.      出荷の自動保留

出荷時の与信限度確認の結果がマイナスである場合は、ここで出荷を自動的に保留することができます。これによって、顧客が債権残高を支払うことができると確信できるまで、出荷が行われません。

   20.      出荷額のレポート

出荷の登録時に、該当する出荷額が SAP 与信管理にレポートされます。

   21.      債務および債務の更新

出荷が登録されると、現在の債務は受注額からではなく、現在の出荷額から発生します。SAP 与信管理では、該当する受注額は債務から計算され、出荷額が債務に追加されます。

   22.      出荷のリリース

出荷がマイナスの与信限度確認によって保留されると、債権の支払いが保証された場合、与信管理者は出荷を引き続き処理するためにリリースすることができます。

   23.      出庫の登録

出庫時の与信限度確認が、顧客への出荷を止める最後のチャンスです。そのため、与信限度確認を出庫に対して実行し、未払いの債権を支払うことができない顧客に、これ以上出荷が行われないようにする必要があります。

   24.      与信限度確認の呼出

ステップ 6 を参照してください。

   25.      与信限度確認の実行

ステップ 7 を参照してください。

   26.      請求伝票の登録

出庫後、SD 担当者が請求伝票を登録し、この伝票が債権管理に自動転送されます。同時に、SAP 与信管理に対するメッセージが登録されます。このメッセージにより、SAP 与信管理では顧客の債務が受注額により減額されます。

   27.      債務の更新

債権管理に請求書が転送されたことで、ロジスティクスにおける受注の処理が完了します。この段階では、企業のリスクは財務会計の支払請求書という形で表されます。したがって SAP 与信管理では、債務がレポートされた受注額により減額されます。

   28.      未消込明細の登録

債権管理に請求伝票を転送した結果、関連する未消込明細が顧客の勘定に登録されます。

   29.      未消込明細のレポート

一定の周期で、債権管理の顧客別の未消込明細が SAP 与信管理にレポートされます。

   30.      債務の更新

債権管理から未消込明細のレポートを受けたことで、顧客の債務が更新されます。債務の評価では、ユーザはレポートされた債務カテゴリの概要 (未処理の受注や未消込明細など) を照会することができます。

   31.      早期警告一覧の評価

早期警告一覧 (与信限度額使用一覧) により、与信限度額使用が 100% に近づいている顧客を特定することができます。SD システムでは、リスクがあると認識された顧客が未処理請求書の支払を行い、債務を減らさない限り、与信管理者はこの顧客からの受注の承認を保留します。

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