デフォルト国 研究

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「デフォルト国」研究。 アルゼンチンに続くのは...?

  アルゼンチンは何と9回目のデフォルト(債務不履行)である。もともとテクニカル・デフォルトの扱いでもあったし、マーケットには殆どインパクトはなかった。それでも「コロナ危機」の最中、他国にもリスクは拡散するのか、気になるところではある。

 5年CDSで100ポイントを上回る「100CLUB」から何カ国かピックアップして、GDP、債務、預金の比較を行ってみた。

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 まずはアルゼンチンと同じ南米のブラジルと、通貨安で話題のトルコ

バランスシート比較(南米、他)

 政府債務のGDP比率で言うとブラジルの方がアルゼンチンより悪いが、やはりGDPに表される経済規模の差だろうか、アルゼンチンが先に息絶えてしまった。経済規模では同程度のトルコも通貨急落に見舞われて大変な事態に陥っている。先日日本等に対し「通貨スワップ」締結を要請してきているのは、自国通貨安を止めたいから。実際預金者はリラからドルへ預金を移し替えており、*リラ安に拍車が懸かっている。

*トルコリラはほんの5年前は1リラ=@45円だったのが今や@15円。元金が3分の1になってしまった。5年前と言えば外資系を中心に利回り10%台を売り文句に「トルコリラ建債」がこの日本でも広く売られていた。いくら利息を@10%x5年=50%貰っても、元金が3分の1になってしまっては大損。「高利回り通貨」の典型的な失敗例である。恐ろしい。

 この辺の通貨、国家に共通しているのが国内預金の少なさ。民間、政府の債務残高に対し、国内預金が3割にも満たない。結果として多額のドル建債務を抱えることになり、自国通貨安→インフレでデフォルトに至るケースがほとんどだ。従って自国通貨もなかなか国際化しない。浪費癖など国民性も影響しているのだろうが、もう少し「富」の蓄積に地道に取り組まないと根本的解決には至らないだろう。

 次はヨーロッパ。イタリアギリシャをドイツと比べてみた。

バランスシート比較(ヨーロッパ)

 違いは一目瞭然。過去5回デフォルトしているギリシャはアルゼンチンよりも経済規模も小さく、ユーロに参加してなければとっくにデフォルト→通貨安(ドラクマ)のパターンだったはず。

 イタリアも経済規模こそブラジルと同程度に大きいが、今回のコロナショックをまともに受けており今後予断を許さない。特に政治的には支援を受けている中国とEUに挟まれる格好になっており、何かと揉めそうだ。

 そしてアジアから中国韓国

バランスシート比較(アジア)

 「今更そんなことで驚くなよ」とお叱りを受けそうであるが、実は中国のモデルを作ってみて正直驚いた。「何じゃこりゃ」いくら社会主義とは言え、借金が売上(=GDP)の4倍を上回っていて、預金(含.外貨準備)がその半分もないなんて。規模は大きいが「お金を借りまくって使っているだけ」。筆者が銀行の融資係ならこんな会社には絶対にお金は貸さない。

 おそらくリーマンショック後の大型財政出動でこうなったのだろうが、まともに借金を返すつもりなどないだろう。これを解消する方法は3つ

 ①アメリカから覇権を奪い取り、「人民元」を主要通貨にする。

 ②「徳政令」を出して政府債務を棒引きにする。

 ③デフォルトする。

 ②は国内資産が足りないため難しく、現実的にはしかない。この債務状況では再度大型の財政出動をするのは不可能であり、最悪「戦争」に走る懸念さえある。「コロナ後」先抜けで一人勝ち、のようなことを喧伝しているが実は追い詰められているのではないか。特にアメリカは輸出の19%も占める「最上顧客」なわけで、そこと揉めているのは致命的でもある。

 ここまで債務が膨張すると国内的にはハイパーインフレをいつ起こしても不思議ではなく、「人民元」は主要通貨どころか紙切れになるリスクさえある。実際、為替市場でじりじりと「人民元」が売られているのが不気味だ。

 日本、中国と並べると小さく見てしまう韓国だが、経済規模はイタリア、ブラジルと同程度でまずまずの大きさ。ただ、この国もアルゼンチン同様ドル建て債務が多く、自国通貨「ウォン」が不安定世界的な金融機関も育っていないため資金調達力が脆弱で、実際過去2回デフォルトしている。

 近年は経済力をつけているため過去2回と同じようになるかどうかはわからない。ただ家計債務の膨張が凄まじく予断を許さない。特に中国に傾斜して以降、ウォンも人民元に連れて動いており、ウォン安による輸入コストの増大+人件費の高騰が国内産業の空洞化を招く、との指摘もある。

 「コロナ後」は主要国も経済弱小国もかなりの額の「富」が失われ、復興にはかなりの時間を要するだろう。そうなるとあとは**我慢比べだ。

**民間企業でもイギリスで「ローラ・アッシュレー」「キャス・キッドソン」、日本でも「レナウン」、アメリカの「ハーツ・レンタカー」など名前を聞いたことがある有名企業が相次いで倒産、破産している。デフォルトは連鎖するし、大手、有名企業だから安心というのはもう通用しない。

 国も企業も潰れるか潰れないかは、詰まるところ「資金繰り」次第。それで今回このような分析を試みたわけだが、少し自分でも認識が改まった部分もある。よくよく注視していかなければ、と気を引き締める次第である。

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