【SAP】CO(管理会計)とは?

SAPの会計系モジュールには、大きく分けて2つ存在します。

1つがFI(Finance)―。もう1つはCO(Controlling)です。

FIコンサル、COコンサルがいるように、両モジュールはそれぞれ独立しているものの、同じ会計系モジュールに位置づけられるので密接な関連性があります。

ただ、意外とFIとCOの区別を明確に解説している記事ってありません。

FI(財務会計)はなんとなくイメージできるけど、CO(管理会計)って結局どんなモジュールなの?という疑問にお答えできるように、システム設定など専門的な知識を付けていこうとする方向けの「超・入門編」として「COとは何か?」を概要レベルでざっくりお伝えします。

尚、管理会計のツボをつかむには、システム的な仕組みと合わせて実際の業務内容をある程度知っている必要があります。

このページではその辺の基礎知識も交えながら説明していきます。目次

  1. CO―管理会計とは?
  2. COを知れば全業務のエキスパート???
  3. COの主要3機能
    1. ①CO-OM:間接費管理
    2. ②CO-PC:製品原価管理
    3. ③CO-PA:収益性分析
  4. COはSAPの根幹部分になる

CO―管理会計とは?

COモジュールの最終ゴールをざっくり説明すると「費用・収益の分析」です。

FIの最終ゴールが「財務諸表の作成」、すなわち社外向けの報告であるのに対し、COのゴールは社内向けのレポートであるという点が異なります。

CO(管理会計)⇒ 費用・収益の分析 = 社内向け

FI (財務会計)⇒ 財務諸表の作成  ⇒ 社外向け

※FIモジュールの目的については以下の記事を読むとイメージできます。

FIモジュールは、財務諸表の作成をゴールを目的としているため、業務内容は比較的どの会社でも同じようなフローを取ります。

一方でCOはその会社がどこまで分析を実施したいかによって業務の内容・流れが変わるという特徴を持ちます。

したがって、COについてはモジュールの設定方法を満遍なく知っている必要があります。

FIでは、ある程度の設定を他社からの流用でカバーできますが、COについては他社設定・ナレッジの流用が難しいです。

1から自分の知っている範囲のノウハウで設定していく必要があるのです。

COを知れば全業務のエキスパート???

COモジュールは、社内向けに費用・収益をレポートするため、お金というお金(ここでは費用)に関する情報を全て集める必要があります。

人件費・購買費・生産費・光熱費・・・・。最終的には〇〇費と呼べるお金に関する情報が全てCOに集まってくるのです。

つまり、全業務の仕組みをある程度知っている必要がある!!!

ことになります。

以下の図はSAPに関する費用情報の流れ図です。見ればわかりやすいかと思いますが、他モジュールからも情報が連携されるため、ある程度の理解が必要になるのです。

では、具体的にCOはどのような機能で成り立っているのか、具体的にイメージしていきましょう。

COの主要3機能

COの主要機能は

① CO-OM:間接費管理

② CO-PC:製品原価管理

③ CO-PA:収益性分析

の3つに分類されます。

それぞれ、具体的な業務との対応を踏まえて仕組みを理解していきましょう。

①CO-OM:間接費管理

OMとは「Overhead Management」の略です。ここでいうOverheadとは、いわゆる間接費のことを指します。

管理した間接費を各部門へ配賦を行うことを目的とした機能群をCO-OMと呼んでいます。

間接費とは?

間接費を簡単に説明すると「費用の発生元が1つに特定できない費用」のことです。説明の仕方を変えると「原価に直接関係のない費用」とも説明できます。

例えば、経理部門が電卓を100台を購入したとします。この場合、費用の発生元は明確に経理部門であることが分かります

したがって、電卓100台の購入費用は「直接費」に分類されることになります。

では、オフィスの改善として「エアコン」をオフィスルーム全体に導入した場合は、どうでしょうか?

費用の発生元は発注元の総務部門でしょうか?

経理部門でしょうか?

システム部門でしょうか?

このように、費用の発生元が1つに特定できない費用が間接費です。CO-OMが間接費を管理します。

とはいえ、この「エアコン」導入費用はどこかの部門の費用として計上する必要があります。どの部門に計上するのが正解なのでしょうか?

それを解決するために理解しておく必要があるのが「配賦」という概念です。

配賦

「エアコン」の導入費用は、その恩恵を享受する部門全体に計上するのが正解です。

オフィス全体に導入されたとすれば、この場合は「全部門」に計上するのが正解です。なので、全部門で割り勘をする必要が出てきます。

この場合業務的に費用の割り勘を行うことを「配賦」とよびます。

予め決められた基準にしたがって費用を割り勘して計上―。エアコンなどであれば、部門が占有している面積の広さに応じて配賦(エアコンの設置費用を各部門に計上)します。

間接費管理のための設定が必要

上記で解説したとおり、FIでは管理しきれない「部門」単位の組織設定(※原価センタ)やプロジェクト管理(指図)などが必要となります。

原価センタ・利益センタ、指図などはざっくり「間接費」の「配賦」を行うために設定する、ということもできます。

CO-OMは「間接費管理をする機能」と理解しておきましょう。

②CO-PC:製品原価管理

2個目の主要機能が製品原価管理です。PCとはProduct Costingの略で、直接費を管理する機能群のことを指し示します。

簡単にいうと、直接費を管理・集計し製造原価を計算することを目的とした機能のことと覚えておけば問題ありません。

直接費とは?

直接費は、間接費の反対です。つまり、費用の発生元が1つに特定できる費用のことであり、言い換えれば原価に直接関係のある費用のことです。

全社にエアコンを導入する費用は、費用の発生元を一つに特定できないため間接費であると説明しました。直接費の例を挙げるのであれば、製品を作成するための原材料や、人件費、加工費などがそれに該当します。

1つの製品を作るために直接関係のある費用が直接費です。

エアコンは、製品を作るために直接の関係性はありませんよね。(モチベーションがあがる、とか働く人の効率があがるとかいう関係性はあるかもしれませんが・・・)

同じ給料でも、例えば退職金は製造に関係しないため間接費ですが、製造している時間に対しての給料は直接費となります。

CO-OMは間接費を管理することであるのに対し、CO-PCは直接費を管理することを目的とした設定が必要になります。

③CO-PA:収益性分析

最後の機能は、これまで述べてきた2機能で集計した間接費・直接費を用いて、事業別・製品別の原価・利益を分析する機能です。

PAとは、Profitability Analysisの略です。

この3つ目の機能は、とりあえず「レポーティングの機能である」と覚えておけば問題ありません。

光熱費は全社的にどれだけかかっているのか?どの部門が1番利益率が良いのか?などが分かることによって、次年度以降の予算策定業務をベストプラクティスで実施できます。

COはSAPの根幹部分になる

COは他モジュールからのデータが最終的に行きつくモジュールです。

SAPという製品、ERPシステムという概念から考えた際に、COモジュールの設定がメリット最大化の鍵を握ると言えます。

業務とシステム的な仕組みを理解しておくことが重要になります。

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