今回はPMOの役割や具体的な仕事について考えてみましょう。
組織・プロジェクトによって様々な形態のPMOがあり、それぞれPMOに求められることが違います。
(1) 実プロジェクトに参画し管理や技術支援を行う。事務局も担う。必要に応じてトレーニングを計画し導入する。
(2) プロジェクトマネジメントや開発の基準・標準を策定して、組織内のプロジェクトに基準・標準の適用を促す。
(3) 組織内で立ち上がっているプロジェクトの状況を纏め、組織長に報告する。
この事例毎に具体的な仕事をあげてみましょう。
(1) 実プロジェクトに参画し管理や技術支援を行う。事務局も担う。必要に応じてトレーニングを計画し導入する。
この形態は、中規模~大規模プロジェクトに設置するPMOですね。大規模プロジェクトになると、インフラチーム、業務チーム、試験チーム等複数のチーム編成になります。各チームでマネジメントを行い、さらにプロジェクト全体でマネジメントを行うとなると、管理資料を作成数だけでも相当な稼働がかかりますし、もちろん「各チームの状況を的確に把握する目」も必要になります。よって、PM1名ではマネジメントしきれないので、PMチームとして構成しマネジメントを行う必要があります。
では具体的には何を行うのでしょうか?
(ア) プロジェクト計画を立案する
WBS、スケジュール、体制の検討・文書化、リスクの洗い出し等プロジェクト開始時に必要となるプロジェクト計画をPMと一緒に策定します。
(イ) 具体的な管理方法を検討する
プロジェクトが始まると同時に管理が始まりますので、進捗・課題・リスクの報告方法(報告書のフォーマットや記載すべき事項、報告頻度など)を事前に具体化する必要があります。
(ウ) 管理を支援する
プロジェクトが開始されたら、実際の管理を行います。各チームが提示した報告書をプロジェクト全体が見える形の管理表に纏めます。単に報告書を1つにするのではなく、各チームの進捗や課題からプロジェクト全体に影響を与えると思われる問題点が解るように纏めます。
あれっ、PMの作業そのままですね。
そうなんです。プロジェクトのPMOはPMと同じレベルの作業が求められます。PMOはPMがプロジェクトを把握・判断できるような材料を提供し、必要に応じてPMと一緒に対策を考えることもあります。
(2) プロジェクトマネジメントや開発の基準・標準を策定して、組織内のプロジェクトに基準・標準の適用を促す。
会社や事業部などの組織に設置するPMOで、組織内のプロジェクトに対して手法や規則やノウハウ等を基準や標準として作成し各プロジェクトに提供します。
組織で基準や標準がなく、プロジェクト毎に個別にプロジェクトのプロセスやアウトプットを決めると下記のような問題が発生します。
- プロジェクト開始前に検討することが多く、プロジェクト開始までに時間がかかる。
- 属人的な部分が多く、個人の力量にプロジェクトの成功が委ねられる。
- 組織として各プロジェクトの状況を把握することは困難になる。
- 複数のプロジェクトから良い部分を適用しようとしても、プロジェクト毎に違う粒度のものがあると流用するのが難しくなる。
組織で標準を作ることによりこれらの問題が軽減されます。基準・標準として定義するものとしてよくあるのは、プロジェクトマネジメント、開発に関する基準・標準です。
(ア) プロジェクトマネジメントに関する基準・標準
プロジェクト発足からクローズまでのマネジメントプロセスを定義し、そのプロセスを実施するためのフォーマットを作成します。
マネジメントプロセスとは、スケジュール管理/課題管理/リスク管理/仕様変更管理/品質管理/構成管理等を指します。
(イ) 開発に関する標準・基準
開発を進めるためのプロセス(工程や作業タスク)や手法や成果物を定義します。要件定義、設計、製造、テスト、移行・リリースそれぞれで定義します。
これら基準・標準を作成した後は、「さぁどうぞ使ってください」といってポイっと渡しても使いこなすことはできませんので、PMOがプロジェクトへの導入を支援する場合もあります。